Old vs New AI: Bluff raise on the flop
旧AI vs 新AI フロップでのブラフレイズ
例5
ハンド:
ヒーローはナッツフラッシュドローに対するブロッカーを使ったブラフでレイズし、ポットを勝ち取りました。
もしジャストコールしてしまうと、相手がすごく弱いハンドだった場合ですら、後のストリートでヒーローは困難な状況に直面するかもしれません。
この例では、ヒーローはカットオフからスーテッドコネクタでオープンし、BB以外はフォールド。フロップでストレートとフラッシュのドローをヒットしました。そしてCBを打ったところ、大きいチェックレイズを返されました。さて、この場面で最適なプレイはなんでしょうか?
もちろんセットに対して40%、2ペアに対して50%のエクイティがあるこのようなハンドではフォールドすることは論外として、コールにとどめるか、それともレイズすべきでしょうか?
旧AI = コール
新AI = レイズ(ほとんどの場合)
まず第一印象として、コールが魅力的に思えます。理由としては以下で、
- ポジションがあるヒーローにとって、ポットを小さく保てることは有利になる。
- ヒーローのハンドはエクイティが高く、またコールすることによってBBのレンジを広く残せる。
- もし3BETした場合、BBの弱いレンジはフォールドし、ヒーローに対して対抗できる強いハンドしか残らない。
コールの問題点は、ターンで多くの場合、難しい状況に直面することです。
- もしハンドが進展せず相手がチェックした場合に、ヒーローはコミットしかかっている上に、相手のレンジに対するエクイティもない。
- 同様に、もしハンドが進展せず相手がチェックして、チェックレイズを恐れフリーカードをもらったとして、リバーでハンドが完成しなかった場合、ターンのチェックのあとではリプリゼントできるハンドがない。
- もしリバーがヒットしても、7ハイフラッシュではブラフキャッチもバリューベットも難しい。
- もしターンでフラッシュが完成しても、相手が続けてベットをしてきたら、ヒーローのハンドは弱いブラフキャッチャーにしかならない。
- もしターンでフラッシュして相手がチェックした場合、ヒーローのハンドの価値はわずかに上がります。もしヒーローがベットした場合、フルハウスに望みをかけたセットか、上フラッシュがなければ降りるしかないでしょう。
最高のシナリオは、ターンでストレートがヒットした場合で、その時にはかなり読まれづらいハンドなので、最大限のバリューが取れるでしょう。
しかしながら、たとえフロップで相手のレンジに対してかなりのエクイティがあるとしても、結局7ハイしか持っていなので、エクイティを活かせる段階で出来る限りポットに注ぎ込むべきです。
コールした場合、相手にエクイティがわかりやすくなってしまいます。フロップで3Betすることは、相手のトップペアや上のフラッシュドローを降ろせるので、かなり意味があります。これは相手が3Betをコールした場合のターンでも同じです。
要約すれば、レイズすることのほうがかなりいいアクションであると思います。しかし、コールレンジとのバランスを取るために、新AIでも13%はコールをします。
なお、興味深い余談ですが、我々はPokerSnowieの評価ツールを使って、ヒーローが(似たような状況でも)コールした方がいい状況を見ることができます。
ストレートドローとバックドアフラッシュを持った状態です。ヒーローのドローは読みづらく、ヒットした場合にバリューを取れます。ここをコールすることによって、クラブが落ちた場合にブラフすることもできます。
ナッツフラッシュドローです。ヒーローは相手の下フラッシュを降ろさせたくありません。特にKcをブロックしてしまっているので、相手にセカンドナッツドローがないことも注意が必要です。さらに、AやKがヒットすることによっても、ショウダウンで勝てる見込みがあります。
トップセット。ヒーローは後のストリートで自信を持ってブラフキャッチできます。ヒーローは相手のトップペアのコンボをほとんどブロックしています。もし相手が下セットを持っていたら、いずれにせよ後のストリートで、スタックはポットに突っ込まれるでしょう。
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Old vs New AI: Facing strong combo draws
旧AI vs 新AI 強いコンボドローの扱い
例4
ハンド:
ヒーローはCBをコールし、ターンは4c、リバーは9cで最後までチェックで回り、プリフロップレイザーがストレートでポットを勝ち取った。
ヒーローはAd7dでブラインドをディフェンスしました。フロップではナッツフラッシュドローとガットショトフォローになりました。ヒーローはCBとそれに対するコールに直面し、エクイティが高いのでフォールドは考慮しないにしても、コールとレイズはどちらを選択すべきでしょうか?
旧AI = レイズ
新AI = コール
こちらが勝っているアクションを取るか負けているアクションを取るかのどちらを選択するかは比較的容易ですし、コール/レイズがどちらも-EVとなる時に降りるときも容易です。しかしながら、強いコンボドローを持った時に、コールとレイズ、どっちのラインを取ることがより利益的なのかはかなり難しいです。この判断をするために影響する要因がいくつかあります。
レイズすべきとする要因
- ヒーローはポジションがなく、また互いのスタックのSPRを下げることも、ヒーローに有利に働きます。
- レイズはプリフロップレイザーに対して後ろにコーラーがいるためスクイーズとして働き、ハンドに対して素直にプレイすることを強制し、かなり強いレンジを持っていない限り、ポットに留まることができません。
- ボタンはプリフロと、このドローヘビーなボードで2度コールして強さを見せていないので、おそらくあまり大したハンドは持っていないでしょう。
- ヒーローのハンドはフロップで注ぎ込むのに、十分に強いハンド(ブロードウェイハンドに対して40%)を持っています。もしコールしてハンドが進展しなかった場合、ターンでそれ以上のアクションを取るのがかなり難しい状況になってしまいます。
しかしながら、コールを正当化する要因もあります。
コールすべきとする要因
- このボートテクスチャはヒーローのレンジに対してあまり良くない。プリフロップでスクイーズをせずコールしたことから、ストレートが完成するAKや、セットが出来るQQ-TTはレンジにありません。ありえるのは2ペアか下ストレートくらいで、これはナッツフラッシュドローができるたびにチェックレイズするのであれば、バランスをとるのに十分なほど強くはありません。
- ヒーローは強いアクションに直面しています。EPのプリフロップレイザーが3WayPOTでCBを打っています。ボタンもコールしているということは何かしらのハンドを持っていて、例えばPokerSnowieの推測では、JJ、TTのセットがレンジに存在します。
- CBのサイズが1/3以下です。これはドローを引きに行くには良いサイズですし、チェックレイズでポットを取りに行くよりも安く済みます。
- コールすることにより2枚のフリーカードを引けるチャンスがある。もしヒーローがコールし、ターンがラグだった場合、プリフロップレイザーは2つのスポットでコールされてさらにブラフを打ち続けるのは難しいでしょう。そしてもしボタンがドローハンドを持っていた場合、彼は喜んでチェックするでしょう。
- ヒーローはナッツフラッシュドローを持っているため、ポットに残った相手が弱いフラッシュドローを持っていても気にする必要がありません。レイズしてしまうと弱いドローを降ろしてしまい、ヒーローのハンドに対抗できるようなハンドのみがコールもしくはレイズすることになります。
- たとえここで3Betまで行ってもスタックはまだ十分にディープで、ヒーローはターンで、ヒットすればバリューを取りに行けるが、ヒットしない場合でもブラフを続けなければならないという難しい状況に直面します。
以上により、私はボードテクスチャーから、新AIの判断を基に、ここではジャストコールにとどめます。しかしながらこれは微妙な判断で、2つのラインの違いはEV0.08の差しかありません。
ハンド:
ヒーローはCBをコールし、ターンは4c、リバーは9cで最後までチェックで回り、プリフロップレイザーがストレートでポットを勝ち取った。
ヒーローはここでは負けてしまいましたが、このプレイ結果には喜ぶべきです。フロップもいいエクイティで、かなり安い金額でナッツへの2枚のカードを引けました。もしフロップでチェックレイズしてしまった場合、一体どうなっていたでしょうか?
旧AIでは、ドローの状況はかなり高く評価されていたが、新AIではこれらの状況が更に強いものとして評価されています。
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Old vs New AI: Facing an all-in by the cut off
旧AI vs 新AI カットオフからのオールインに直面したとき
例3
ハンド:
ヒーローはフォールドし、カットオフがポットを勝ち取った。
この例では、ヒーローが55でオープンし、カットオフに19.5BBのオールイン3Betを返され、他は全員フォールドしました。旧AIではコールでしたが、新AIではフォールドとなっています。
旧AI = コール
新AI = フォールド
今までと同じ方法でこの状況を分析してみましょう。
最初に、ポットオッズを計算します。
ヒーローは$0.48を取るために$0.33を出すので、コールを正当化するために必要な勝率は40.7%です。
次に、55と相手のレンジのエクイティを計算します。
もし相手が上位11.6%のハンド(55+,A8s+,KQs,ATo+,KQo)でプッシュしてくるなら、55の勝率は40.3%であるため、ギリギリフォールドです。もしもっと広く相手がプッシュしてくるならコールします。
このポジションから3Betしてくる相手の平均的なレンジはどれくらいでしょう?私の推測では、おそらく11%から12%の間でしょう。ですので、ここのでの判断は5分5分であると思います。
旧AIでは、コールが+4.29BBとしていますが、これは大きく間違っていて、この場合相手が上位30%のハンドでプッシュしてきていることになります。新AIはこのシチュエーションをより正確に判断し、コールとフォールドの差が0.19BBであるとしています。
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Old vs New AI: Dealing with unorthodox situations
旧AI vs 新AI 通常ではないシチュエーションへの対応
例2
ハンド:
ヒーローはコールし、相手はA3oをショウ。ボードはKJ75Kで、ヒーローはダブルアップ。
この例では、相手はUTGからいきなり179BBのオープンオールインをしてきています!これは通常有り得ない状況ですが、我々はこれに対応しなければなりません。
旧AI = フォールド
新AI = コール
再び、前回と同じ方法で分析してみましょう。
ポットオッズを計算する。
まず注意しよましょう。相手のスタック量がリスクなのではありません。ヒーローはエフェクティブスタックの$2.46($2.43+SB+BB)のためのみにプレイをします。ヒーローは2.46を勝ち取るために2.43のリスクを負うとします。このポットオッズは0.497で、ヒーローは49.7%勝てなければコールを正当化できません。
QQと相手のレンジのエクイティを計算する。
これを算出するのに、前回の例と同じレンジを使用することはできません。179BBでオープンオールインをするのは通常の戦略とはいえないからです。相手が上位x%のハンドとバランスのとれたレンジでプレイしている、というように推測することは間違です。殆どの場合、相手のレンジは全くバランスを取っていないものでしょう。
もし相手が、例えばAAやKKのようなとても強いハンドを持っているなら、もっとアクションが起きてくれるように小さくレイズするでしょう。もちろん相手がAAやKKを絶対持っていないとは言い切れません。実際に私もこういう状況でAAやKKが出てきた経験はあります。しかし、めったにないことです。
ですので、適切な計算をするためには、このようなアクションを取る人間が平均的にどのようなレンジであるかを考える必要があります。殆どの場合、相手はスモールポケットペア、Aハイ、スーテッドコネクタ、もしくはゴミハンドを持っているでしょう。
結論としては、ポケットクイーンであれば平均的な相手のレンジに勝てるでしょう。新AIはこの状況を正確に見積もり、コールすることが平均+59BBであると算出しています!
この例ではPokerSnowieの学習プロセスがどれだけ有用かを示しています。AIはポーカーを力技の計算というよりも、経験によって学ぶので、この状況での相手のレンジは、他の状況より弱いということを認識できるのです。ポットオッズが悪く後ろに1人ではなく3人残っているにもかかわらず、ここはコールです。
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Old vs New AI: Facing an all-in by UTG
旧AI vs 新AI UTGのオールインへの対応
例1
ハンド:
ヒーローはコールし、相手はAcKcを持っていた。ボードは8Q53Qと開き、チョップになった。
この例では、UTGが32.5BBでオープンオールインし、ヒーローはSBでAKoを持っています。旧AIではこれはフォールドでしたが、新AIではコールとなっています。これが何故か分析してみましょう。
旧AI = フォールド
新AI = コール
この状況での正しい決断は、どう分析すればいいでしょうか。
一般的なポーカーのやり方通り、第1段階としてポットオッズを計算しましょう。
この状況では、ポットは$0.68で、コールするのにかかるコストは$0.64です。ですので、0.64/(0.64+0.68)= 48.5%以上の勝率があればコールが正当化されます。
第2段階では、エクイティを判断しましょう。
UTGのハンドはわかりませんが、レンジを推測することはできます。それでは、ポーカーツールを使って、我々のハンドと相手のレンジに対するエクイティを計算してみましょう。私はフリーソフトのPokerStoveを使います。
ビッグブラインドの存在を考慮すべきですが、ヒーローのエクイティにほとんど影響をあたえることはありません。AdとKsは既にヒーローのハンドにあるので、BBがAA,KKを持っている可能性は0.5%しかありません。計算を単純にするため、ここではブラインドの存在を無視します。
第3段階では、案を比較することによって結論を出します。
例えは、プッシュしてきたUTGのレンジをAK,JJ+と仮定しましょう。このタイトなレンジ(3%)に対して、PokerStoveは、AdKsのエクイティを0.398、つまり、39.8%の勝率と計算します。これは48.5%より低く、フォールドすべきとなります。
しかし、我々は相手のレンジに解説策を見出しました。もし相手がAQ+,99+(5.1%)でプッシュしてくるのなら、ヒーローの勝率は48.7%となり、これは必要なポットオッズよりも若干高いものです。
もし相手が更に広いレンジでプッシュしてくるなら、我々のハンドの勝率は更に上がり、簡単にコールすることができます。逆にもっと狭いレンジでプッシュしてくるのなら、コールすることはできません。
相手の情報がないので、我々はこのレンジを平均からしか推測できません。あるプレイヤーはこれより狭いレンジでプッシュしてくるし、あるプレイヤーはこれより広いレンジでプッシュしてくるでしょう。
この手のプレイヤーについて私が推測するなら、32BBのUTGでは、平均的に5.1%より広くプッシュしてくるでしょう。ですので、新AIの判断を支持し、ここではコールしたいと思います。
しかし、これは考えるよりもかなり微妙な判断で、(BBがいるため)リスクは32BB以上だし、フォールドとコールの差も2.62BBしかありません。またコールには別の問題として、レーキがあります。これはマイクロステークスではとくに問題となります。
レーキはポーカールームによって違いますが、レーキが5セントかかるとすると、必要な勝率は0.64/(0.64+0.68-0.05)=50.39%です。この場合相手が6%より広いレンジでプッシュするなら、コールは正当化されます。私の考えではこの状況の相手はATsやKQoもレンジに含まれると思うので、なおコールすると思いますが、やはり微妙なところです。
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The Art of Bet-Sizing
ベットサイジングの技術
私の生徒の多くがベットサイジングに問題を抱えています。そしてここが、多くのマイクロステークスプレイヤーがウィンレートを向上させるポイントだと思います。この記事は、ベットサイジングをいかにすべきかについての考えを共有するために書きました。他にも思いついたことがあれば、この記事のPart2があるかもしれません。
エクスプロイト的アプローチ
エクスプロイト的ベットサイジングの目標は以下の3点です。
- できる限り安くブラフする(最小のリスクで最大のフォールドエクイティを得る)
- できる限り多くのバリューを得る(できる限り多くのハンドにコールされる額の選択)
- シンプルにベットサイズを決断し、複雑な局面を避ける
できる限り安くブラフする
リバーで40BBのPOT。あなたはブラフをすることにし、ブラフベットを1/2POTベットかPOTベットのどちらにするか選ぶところです。
もし1/2POTベットを打った場合、相手は33.3%フォールドします。
そしてもしPOTベットを打った場合、相手は55%フォールドします。
EVを最大化するのはどちらのベット額でしょうか?
これはとてもシンプルなスポットで、簡単に計算することができます。以下の式を見てみましょう。
EV(Bluff) = Fold Equity X Pot Size – Call Frequency X Bet Size
EV(Half Pot Bet) = 33.3% X 40 – 66.7% X 20 = 0BB
EV(Full Pot Bet) = 55% X 40 – 45% X 40 = 4BB
たとえあなたにとって1/2POTベットが"安い"としても、フォールドエクイティが低下してしまう影響が、安くブラフできることよりも大きいのです。
できる限り多くのバリューを得る
リバーで40BBのPOT。あなたはナッツを手にし、バリューベットを1/2POTベットかPOTベットのどちらにするか選ぶところです。
もし1/2POTベットを打った場合、相手は33.3%フォールドします。
そしてもしPOTベットを打った場合、相手は50%フォールドします。
EVを最大化するのはどちらのベット額でしょうか?
ほとんど同じようなスポットですが、バリューハンドを持っているという点が異なります。再びEVを比較してみましょう。
EV(Value Bet) = Villain’s Calling Frequency X Bet Size
EV(Half Pot Bet) = 66.7% X 20 = 13.33BB
EV(Full Pot Bet) = 50% X 40 = 20BB
このケースでも再び、EVを最大化するのはPOTベットです。
エクスプロイト的アプローチの良い点、悪い点
- +ブラフする局面においてEVを最大化できる
- +バリューを取る局面においてEVを最大化できる
- +対戦相手のことを考えず自分のハンドのみを見てプレイするような弱い相手に効果的
- -対戦相手にエクスプロイトされる危険がある
単純に言うと、もしあなたがブラフの時は常に小さく打ち、ハンドがある場合には常に大きく打つとすると、注意深い相手にはあなたのハンドが読めてしまい、あなたのラインに対して適切な決断をし、相手が上のハンドを持っている時にはバリューを取られてしまいます。この理由により、私達はすべてのストリートにおいて、弱点を突かれないようにバランスの取れたレンジを構築する必要があります。
バレバレのブラフをしないようにしましょう
GTO的アプローチ
GTO戦略では、膨大な異なるベット/レイズサイズを様々な頻度で行います。それは最初期のストリート(プリフロップとフロップ)ですら対象になり、人間にはプレイ中に計算するのが困難なくらい複雑です。
複数のレイズサイズやプリフロップにおいてはリンプレンジすら持つことは、ディシジョンツリーをとても広く複雑にし、ソフトウェアなしに計算することは出来ません。
上記を踏まえた上で、どうやってGTOの原理を効率的に戦略に組み込んでいくかを考えましょう。
バランスの取れたアプローチ
この段階では、我々は人間の限界を知っています。たとえバランスの取れた戦略が利益を最大化はしないとしても、我々は戦略をバランスの取れたものにしたいと思っています。もしすべてのハンドをディシジョンツリーに落とし込めたとしたら、プリフロップがツリーの始まりで、リバーが終わりとなるでしょう。
我々の目的は、質の高いディシジョンツリーの終わり(リバーの決断)をより単純にすることであり、またあるいは我々自身が、より多くの異なるベットサイジングを後のストリート(ターンとリバー)で使える余地を残すことです。
一定のベット/レイズサイズをプリフロップとフロップで使うこともまた、大いに意味のあることです。なぜなら我々のレンジを広く、特定されないものすることはより重要であるからです。これらのコンセプトを意識し、ここではベットサイズへどうアプローチするか、いくつか挙げたいと思います。
プリフロップ
レベル1:すべてのポジションで3or4BBにレイズする
これは一般的に、初心者が混乱しないように、ゲームを初心者の段階で複雑に捉え過ぎないように教えられる戦略です。
レベル2:ポジションに基づいた戦略により変化させる(例:UTG-4BB,CO-3BB,BU-2BB)EPでは多くの相手と戦わずに済むようアイソレート目的で大きくレイズする。また、EPでのオープンレンジは強いものであるため、バリューを最大化する意味もある。
他方、幅広いハンドでスチールを試みるため、レイトポジションでは小さくオープンする。一般的に、ポジションもしくはオープンレンジの広さに基づいてレイズサイズを変更する。
例えば、ボタンから40%オープンする場合は3BB、ボタンから60%オープンする場合は2BBでオープンする。どちらの戦略も有効なものであるが、60%のレンジで3Bbオープンをしてしまうのはルースすぎ、弱いレンジでデッドマネーを発生させすぎてしまう。
レベル3:対戦相手の情報やテーブルのダイナミクスなど、2種類以上の戦略に基づいた戦略。これは特にレイトポジションにあてはまり、自分より後ろの人数が少ないほど、アジャストを行うことが可能。たとえば、SBのあなたまでフォールドで回って来た場合、2BB,3BBでオープンするか、ブラインドコンプリートすることさえ出来ます。
この3つのどれかが最大のEVを生み出すわけですが、どれが最適かは、それぞれのアクションに相手がどう対応するか、というところに高く依存します。
GTOレベル:それぞれのポジションで複数のレイズサイズを、バランスの取れたレンジで行う。
フロップ
強い対戦相手には、固定されたベットサイズを使用することをおすすめします。そこまで注意を払わないような対戦相手についてはある程度アジャストさせることはできます。コールレンジを変えてこないような相手にはブラフで小さく打ち、バリューで大きくうちましょう。
Price elasticity of demand(需要の価格弾力性)
(※ 需要の価格弾力性とは価格が1%変化するときに需要は何%変化するかを示す数値の絶対値)
これはミクロ経済学に使用される概念です。一般的な言葉で一文で言い表すなら、価格に対する需要に弾力性がない場合(inelastic)、供給側は利益を最大化するために価格を上げ続けるということです。価格が変わっても顧客はいずれにせよその商品を買うことを"強制される"からです。
このグラフでは、点線の長方形の面積が利益を表しています(価格x量)。需要にもっと価格弾力性がある場合、利益を最大化するためには、価格を下げる必要があります。
需要の価格弾力性がない場合、その逆が正しくなります。均衡が取れなくなり需要が落ちるまで価格を上げ続けるべきです。
ベットサイズの弾力性
あなたはこれがポーカーと関係有るのか?と困惑しているかもしれません。
実のところ、多くのCBスポットでは、(あまり強くない)プレイヤーはしばしば、
ベットサイズの変化に対して弾力性がないのです。相手がプレーを継続するレンジがベットサイズに対して弾力性がない場合、ブラフで小さく打ち、バリューでは大きく打ちたいところです。
ここでは、先ほどのPEDのグラフと似たようなグラフを見ることができます。
このコンセプトはほとんど同じものです。点線の長方形の面積が我々のバリューベットのEVを表します。相手がベットサイズに対する弾力性がない場合、われわれはベットサイズを大きくしてEVを最大化し、相手がベットサイズに対する弾力性がある場合、ベットサイズを小さくしてEVを最大化します。
式を見ればわかるように、ブラフベットのEVは逆です。ブラフEVは長方形の面積に反比例します。相手がベットサイズに対する弾力性がない場合、われわれはベットサイズを小さくしてブラフEVを最大化し、相手がベットサイズに対する弾力性がある場合、ベットサイズを大きくしてブラフEVを最大化します。
フロップのシチュエーションへの適用
バランスのとれたレンジをどうやって導き出すか考えると、我々はシチュエーションごとに固定のCBサイズを使うのが良いでしょう。いくつかの点を検討したいと思います。
1. バリューとブラフの比率を決定する。
多くのレイトポジション同士のシングルレイズドポットのシチュエーションでは、両方のプレイヤーに多くの弱いハンドレンジが存在します。
2. バリューベットとブラフベットの良い点、悪い点を比較する。
もし我々が多くのブラフをベットレンジに含めるのであれば、ブラフを安く行えるようにすることが最優先です。もしベットレンジの多くをバリューで構成するのであれば、
できるかぎり大きいバリューベットを行うことが最優先です。
3. ボードテクスチャについて学ぶ。
相手がプレイを継続するレンジは、一般的に、ハイカードのボードでは弾力性が低く、ローカードのボードでは弾力性が高いといえます。
4. 自分のレンジ全体(ブラフもバリューも両方含む)から、最適なベットサイズを選択する。
AcQd5s SRP
多くのプレイヤーは、ガットショットがあるかQ以下のハンドではプレーを継続しません。ですので、40-50%POTの小さいCBに意味があります。それにより、(このようなテクスチャーの)シングルレイズドポットでは多くのブラフが打てます。
5h5d7s SRP
このテクスチャーでは、プレイヤーはすべての種類のオーバーカードでフロートしやすく、一般的にそれらのハンドは25%ほどのエクイティがあります。ここでは、フォールドエクイティを増やし、相手がJT以下のハンドでフロートしづらくするために、ベットサイズを大きくすることが有効です。私の場合は基本的に65-80%POTを打ちます。
ハーフポットに対しては、ほとんどのプレイヤーは2ブロードウェイと、ポジションがある場合にはすべてのKx,Axでもコールをするでしょう。しかし、それよりも大きいベットに対して、多くのプレイヤーはKxではフォールドし、Axのみでコールするでしょう。
JsTd9d SRP
このテクスチャーでは、我々のベットレンジはかなり強いものとなります。我々は強いレンジにおいてバリューを最大化し、相手に色々な弱いハンドでフロートさせないためにも、80%POT+のサイズを打つことに意味があります。
Qd5d2d SRP
このボードでは、一般常識として知られる判断と大きく異なります。一般的には、ドローからハンドを守るために、大きくベットをすべきだとされています。しかし、このボードでは相手のコールレンジはかなり弾力性が低いものとなります。
Ah2h7d 4BETPOT
我々の4BETレンジには多くのAxハンドが含まれ、相手はミドルペア以下のハンドではプレイを継続するのは難しいでしょう。
レンジ全体を鑑みて、ベットサイズはかなり小さく(30%-35%POT)て問題ないでしょう。
Js7c5c 5BETPOT
小さい5Betをし、相手にコールされた状態。我々のレンジはとても強く、最低でもJJ+はあるでしょう。相手は5BETをコールして何かを当てようとしているだけでなく、
フィットオアフォールドモードに入っているのでしょう。
ここで最適なベットサイズはとても小さいもの(25%POT)で、相手はおそらくショブorフォールドをし、コールすることはほぼないでしょう。
ターン
ここでもまだ、複数のベットサイズを使う余地があります。ここでは多くのことを書きませんが、基本的にはどんな状況でもPOTの60-80%が有効となるでしょう。
もしボードが極端にドローヘビーな場合(少なくとも1つのフラッシュドローと2枚のストレートカード)は、強いドローと2ペア以上の強いメイドハンドでそれ以上のサイズを打ってもいいかもしれません。
もちろん、時にはアグレッションに高い相手に対してポットを小さく保ち、自分のシンバリューハンドをプロテクトするため、ドローやメイドハンドの時より少し小さいサイズを打つことも有効かもしれません。
ストレートドローと2つのフラッシュドローがあるボード(例:JdTh5d7h)では、強いドロー(ナッツフラッシュドロー、モンスタードロー)とモンスターハンドで、POTの1.5倍以上のオーバーベットをすることも有効です。
私は弱いドローでオーバーベットを多く使うことは好みません。なぜなら、結局のところ自分を強いドローとの対決に追いやってしまうことになり、ナッツでないドローで巨大なPOTを作るのは、大抵の場合は良いプレイではないからです。
リバー
リバーはレンジが絞られているため、シナリオを分析することが一番簡単なストリートです。もちろんリバーのポットは、フロップやターンで両者がポットにお金をつぎ込んだのであれば、各ストリートでは一番大きいため、リバーをうまくプレイすることは重要です。リバーのシナリオはたいてい、アグレッサーが、コーラーよりもポラライズされたレンジを持っています。このような状況では、TPTKでシンバリューベットを打つような場合を除けば、ブラフでもバリューでも大きいベットサイズが有効なことが多いでしょう。
次回以降記事では、あるハンドについてのEV最大化に対し、レンジ全体のEVの最大化という観点から見ていくことをしたいと思います。
元記事はこちら
http://www.galvinbay.net/the-art-of-bet-sizing/
PokerSnowie AI Brain Update - Part II
PokerSnowieのAIがアップデートされました その2
この記事のPart1では、メンバーのフィードバックとPokerSnowieのアルゴリズムが如何にコアAIをアップデートさせ、弱点を発見し対処したかについて書きました。
PokerSnowieはまた、我々がその強さとバランスのとれたプレイに自信を持っているにも関わらず、まだまだ改善の余地があることを認識しています。その一つの例としては、PokerSnowieは、ベットサイズが、ハーフポット、ポット、ダブルポットの3つに選択肢が限られています。これは、「小さいベット」から「巨大なオーバーベット」までを一応カバーしてると言えますが、プレイにさらに柔軟性を持たせるためにも、もっと多くベットサイズの種類があっていいですし、そうなればまたPokerSnowieの強さは増すことになるでしょう。
また、以下のような過去の例も、フィードバックとそれによる改善の重要さを表しています。例えば、PokerSnowieチャレンジが最初にリリースされたとき、数人の勘の鋭いプレイヤーは、PokerSnowieに勝てる方法をすぐに発見しました。彼らはポットの5%のような、小さいベットを多用したのです。するとPokerSnowieはチェックに対するよりもかなりパッシブになり、そもそもそのミニベットにもフォールドしすぎてしまったのです。
このような戦術は本来は弱いものですが、PokerSnowieに対しては効果的に働きました。一旦この抜け道が発見されたあとは、この策略へ対抗するために、PokerSnowieの根本的なコアネットワークに触らずに思考アルゴリズムを調整出来ました。これ以降、ミニベットは単に負けるだけの戦略となりました。
以下が、最近の改善を示すさらなる例です。
例1 マルチウェイポット
マルチウェイポットをマスターすることは、PokerSnowieにとってはより困難なことでした。これらの状況はより複雑で、あまり頻繁に発生するものではありません。このスポットに関するPokerSnowieの思考は、今ではかなり改善されました。サンプルを一つ挙げましょう。
PokerSnowieは3人の相手に対して発展性のないブラフハンドでリードベットすることが有用であるということを推奨していました。確かにこのボードテクスチャでは相手も何も持っていない可能性が高いです。しかし、そうだとしても、もっと利益的にブラフを打てるハンドが存在します。PokerSnowieはここではフラッシュドロー、そしておそらくナッツフラッシュへのバックドアフラッシュドローでもブラフをします。
しかし、ここで持っているようなハンドでブラフを打つべきではありません。コールされた場合、Qd8hは弱すぎて、勝てる可能性が少なすぎるからです。新AIでは、この状況では100%チェックを行います。これが最適なアクションでしょう。
例2 リングゲームでのブラインドバトル
旧AIでは、リングゲームのブラインドバトルで、決してリンプはせず、オープンレイズかフォールドのどちらかを選択していました。多くのオンラインプレイヤーも、これと同じ戦略をとっています。しかしこの戦略は、タイトすぎてハンドの大半を降りてしまうか、ルースすぎて頻繁に3Betで対抗されるかで、真に最適な戦略とはいえません。
(ブラインドバトルという)この特殊な状況に対してはかなりの改善がなされています。53.89%でオープンする代わりに、新AIでは、29.42%でレイズ、30.74%でリンプを行います。リンプレンジのバランスをとるために、KK,QQ,AKのようなプレミアムハンドをリンプレンジに加えています。
総合的に、この戦略はより堅固で、よりエクスプロイトされさいものとなっています。なお、近日中に、更にエキサイティングな改善点をお伝えします。お楽しみください。
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