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ベットサイジングの技術

ベットサイジングの技術

私の生徒の多くがベットサイジングに問題を抱えています。そしてここが、多くのマイクロステークスプレイヤーがウィンレートを向上させるポイントだと思います。この記事は、ベットサイジングをいかにすべきかについての考えを共有するために書きました。他にも思いついたことがあれば、この記事のPart2があるかもしれません。

 

エクスプロイト的アプローチ

エクスプロイト的ベットサイジングの目標は以下の3点です。

  1. できる限り安くブラフする(最小のリスクで最大のフォールドエクイティを得る)
  2. できる限り多くのバリューを得る(できる限り多くのハンドにコールされる額の選択)
  3. シンプルにベットサイズを決断し、複雑な局面を避ける

 

できる限り安くブラフする

リバーで40BBのPOT。あなたはブラフをすることにし、ブラフベットを1/2POTベットかPOTベットのどちらにするか選ぶところです。

もし1/2POTベットを打った場合、相手は33.3%フォールドします。

そしてもしPOTベットを打った場合、相手は55%フォールドします。

EVを最大化するのはどちらのベット額でしょうか?

 

これはとてもシンプルなスポットで、簡単に計算することができます。以下の式を見てみましょう。

EV(Bluff) = Fold Equity X Pot Size – Call Frequency X Bet Size

EV(Half Pot Bet) = 33.3% X 40 – 66.7% X 20 = 0BB

EV(Full Pot Bet) = 55% X 40 – 45% X 40 = 4BB

たとえあなたにとって1/2POTベットが"安い"としても、フォールドエクイティが低下してしまう影響が、安くブラフできることよりも大きいのです。

 

できる限り多くのバリューを得る

リバーで40BBのPOT。あなたはナッツを手にし、バリューベットを1/2POTベットかPOTベットのどちらにするか選ぶところです。

もし1/2POTベットを打った場合、相手は33.3%フォールドします。

そしてもしPOTベットを打った場合、相手は50%フォールドします。

EVを最大化するのはどちらのベット額でしょうか?

 

ほとんど同じようなスポットですが、バリューハンドを持っているという点が異なります。再びEVを比較してみましょう。

EV(Value Bet) = Villain’s Calling Frequency X Bet Size

EV(Half Pot Bet) = 66.7% X 20 = 13.33BB

EV(Full Pot Bet) = 50% X 40 = 20BB

このケースでも再び、EVを最大化するのはPOTベットです。

 

エクスプロイト的アプローチの良い点、悪い点
  1. +ブラフする局面においてEVを最大化できる
  2. +バリューを取る局面においてEVを最大化できる
  3. +対戦相手のことを考えず自分のハンドのみを見てプレイするような弱い相手に効果的

 

  1. -対戦相手にエクスプロイトされる危険がある

単純に言うと、もしあなたがブラフの時は常に小さく打ち、ハンドがある場合には常に大きく打つとすると、注意深い相手にはあなたのハンドが読めてしまい、あなたのラインに対して適切な決断をし、相手が上のハンドを持っている時にはバリューを取られてしまいます。この理由により、私達はすべてのストリートにおいて、弱点を突かれないようにバランスの取れたレンジを構築する必要があります。

 

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バレバレのブラフをしないようにしましょう

 

GTO的アプローチ

GTO戦略では、膨大な異なるベット/レイズサイズを様々な頻度で行います。それは最初期のストリート(プリフロップとフロップ)ですら対象になり、人間にはプレイ中に計算するのが困難なくらい複雑です。

複数のレイズサイズやプリフロップにおいてはリンプレンジすら持つことは、ディシジョンツリーをとても広く複雑にし、ソフトウェアなしに計算することは出来ません。

上記を踏まえた上で、どうやってGTOの原理を効率的に戦略に組み込んでいくかを考えましょう。

 

バランスの取れたアプローチ

この段階では、我々は人間の限界を知っています。たとえバランスの取れた戦略が利益を最大化はしないとしても、我々は戦略をバランスの取れたものにしたいと思っています。もしすべてのハンドをディシジョンツリーに落とし込めたとしたら、プリフロップがツリーの始まりで、リバーが終わりとなるでしょう。

我々の目的は、質の高いディシジョンツリーの終わり(リバーの決断)をより単純にすることであり、またあるいは我々自身が、より多くの異なるベットサイジングを後のストリート(ターンとリバー)で使える余地を残すことです。

一定のベット/レイズサイズをプリフロップとフロップで使うこともまた、大いに意味のあることです。なぜなら我々のレンジを広く、特定されないものすることはより重要であるからです。これらのコンセプトを意識し、ここではベットサイズへどうアプローチするか、いくつか挙げたいと思います。

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プリフロップ

レベル1:すべてのポジションで3or4BBにレイズする

これは一般的に、初心者が混乱しないように、ゲームを初心者の段階で複雑に捉え過ぎないように教えられる戦略です。

レベル2:ポジションに基づいた戦略により変化させる(例:UTG-4BB,CO-3BB,BU-2BB)EPでは多くの相手と戦わずに済むようアイソレート目的で大きくレイズする。また、EPでのオープンレンジは強いものであるため、バリューを最大化する意味もある。

他方、幅広いハンドでスチールを試みるため、レイトポジションでは小さくオープンする。一般的に、ポジションもしくはオープンレンジの広さに基づいてレイズサイズを変更する。

例えば、ボタンから40%オープンする場合は3BB、ボタンから60%オープンする場合は2BBでオープンする。どちらの戦略も有効なものであるが、60%のレンジで3Bbオープンをしてしまうのはルースすぎ、弱いレンジでデッドマネーを発生させすぎてしまう。

レベル3:対戦相手の情報やテーブルのダイナミクスなど、2種類以上の戦略に基づいた戦略。これは特にレイトポジションにあてはまり、自分より後ろの人数が少ないほど、アジャストを行うことが可能。たとえば、SBのあなたまでフォールドで回って来た場合、2BB,3BBでオープンするか、ブラインドコンプリートすることさえ出来ます。

この3つのどれかが最大のEVを生み出すわけですが、どれが最適かは、それぞれのアクションに相手がどう対応するか、というところに高く依存します。

GTOレベル:それぞれのポジションで複数のレイズサイズを、バランスの取れたレンジで行う。

 

フロップ

強い対戦相手には、固定されたベットサイズを使用することをおすすめします。そこまで注意を払わないような対戦相手についてはある程度アジャストさせることはできます。コールレンジを変えてこないような相手にはブラフで小さく打ち、バリューで大きくうちましょう。

 

Price elasticity of demand(需要の価格弾力性)

(※ 需要の価格弾力性とは価格が1%変化するときに需要は何%変化するかを示す数値の絶対値)

これはミクロ経済学に使用される概念です。一般的な言葉で一文で言い表すなら、価格に対する需要に弾力性がない場合(inelastic)、供給側は利益を最大化するために価格を上げ続けるということです。価格が変わっても顧客はいずれにせよその商品を買うことを"強制される"からです。

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このグラフでは、点線の長方形の面積が利益を表しています(価格x量)。需要にもっと価格弾力性がある場合、利益を最大化するためには、価格を下げる必要があります。
需要の価格弾力性がない場合、その逆が正しくなります。均衡が取れなくなり需要が落ちるまで価格を上げ続けるべきです。


ベットサイズの弾力性

あなたはこれがポーカーと関係有るのか?と困惑しているかもしれません。
実のところ、多くのCBスポットでは、(あまり強くない)プレイヤーはしばしば、
ベットサイズの変化に対して弾力性がないのです。相手がプレーを継続するレンジがベットサイズに対して弾力性がない場合、ブラフで小さく打ち、バリューでは大きく打ちたいところです。

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ここでは、先ほどのPEDのグラフと似たようなグラフを見ることができます。

このコンセプトはほとんど同じものです。点線の長方形の面積が我々のバリューベットのEVを表します。相手がベットサイズに対する弾力性がない場合、われわれはベットサイズを大きくしてEVを最大化し、相手がベットサイズに対する弾力性がある場合、ベットサイズを小さくしてEVを最大化します。

式を見ればわかるように、ブラフベットのEVは逆です。ブラフEVは長方形の面積に反比例します。相手がベットサイズに対する弾力性がない場合、われわれはベットサイズを小さくしてブラフEVを最大化し、相手がベットサイズに対する弾力性がある場合、ベットサイズを大きくしてブラフEVを最大化します。

 

フロップのシチュエーションへの適用

バランスのとれたレンジをどうやって導き出すか考えると、我々はシチュエーションごとに固定のCBサイズを使うのが良いでしょう。いくつかの点を検討したいと思います。

1. バリューとブラフの比率を決定する。

多くのレイトポジション同士のシングルレイズドポットのシチュエーションでは、両方のプレイヤーに多くの弱いハンドレンジが存在します。

 

2. バリューベットとブラフベットの良い点、悪い点を比較する。

もし我々が多くのブラフをベットレンジに含めるのであれば、ブラフを安く行えるようにすることが最優先です。もしベットレンジの多くをバリューで構成するのであれば、
できるかぎり大きいバリューベットを行うことが最優先です。

 

3. ボードテクスチャについて学ぶ。

相手がプレイを継続するレンジは、一般的に、ハイカードのボードでは弾力性が低く、ローカードのボードでは弾力性が高いといえます。

 

4. 自分のレンジ全体(ブラフもバリューも両方含む)から、最適なベットサイズを選択する。

 

AcQd5s SRP

多くのプレイヤーは、ガットショットがあるかQ以下のハンドではプレーを継続しません。ですので、40-50%POTの小さいCBに意味があります。それにより、(このようなテクスチャーの)シングルレイズドポットでは多くのブラフが打てます。

 

5h5d7s SRP

このテクスチャーでは、プレイヤーはすべての種類のオーバーカードでフロートしやすく、一般的にそれらのハンドは25%ほどのエクイティがあります。ここでは、フォールドエクイティを増やし、相手がJT以下のハンドでフロートしづらくするために、ベットサイズを大きくすることが有効です。私の場合は基本的に65-80%POTを打ちます。

ハーフポットに対しては、ほとんどのプレイヤーは2ブロードウェイと、ポジションがある場合にはすべてのKx,Axでもコールをするでしょう。しかし、それよりも大きいベットに対して、多くのプレイヤーはKxではフォールドし、Axのみでコールするでしょう。

 

JsTd9d SRP

このテクスチャーでは、我々のベットレンジはかなり強いものとなります。我々は強いレンジにおいてバリューを最大化し、相手に色々な弱いハンドでフロートさせないためにも、80%POT+のサイズを打つことに意味があります。

 

Qd5d2d SRP

このボードでは、一般常識として知られる判断と大きく異なります。一般的には、ドローからハンドを守るために、大きくベットをすべきだとされています。しかし、このボードでは相手のコールレンジはかなり弾力性が低いものとなります。

 

Ah2h7d 4BETPOT

我々の4BETレンジには多くのAxハンドが含まれ、相手はミドルペア以下のハンドではプレイを継続するのは難しいでしょう。
レンジ全体を鑑みて、ベットサイズはかなり小さく(30%-35%POT)て問題ないでしょう。

 

Js7c5c 5BETPOT

小さい5Betをし、相手にコールされた状態。我々のレンジはとても強く、最低でもJJ+はあるでしょう。相手は5BETをコールして何かを当てようとしているだけでなく、
フィットオアフォールドモードに入っているのでしょう。

ここで最適なベットサイズはとても小さいもの(25%POT)で、相手はおそらくショブorフォールドをし、コールすることはほぼないでしょう。


ターン

ここでもまだ、複数のベットサイズを使う余地があります。ここでは多くのことを書きませんが、基本的にはどんな状況でもPOTの60-80%が有効となるでしょう。

もしボードが極端にドローヘビーな場合(少なくとも1つのフラッシュドローと2枚のストレートカード)は、強いドローと2ペア以上の強いメイドハンドでそれ以上のサイズを打ってもいいかもしれません。

もちろん、時にはアグレッションに高い相手に対してポットを小さく保ち、自分のシンバリューハンドをプロテクトするため、ドローやメイドハンドの時より少し小さいサイズを打つことも有効かもしれません。

ストレートドローと2つのフラッシュドローがあるボード(例:JdTh5d7h)では、強いドロー(ナッツフラッシュドロー、モンスタードロー)とモンスターハンドで、POTの1.5倍以上のオーバーベットをすることも有効です。

私は弱いドローでオーバーベットを多く使うことは好みません。なぜなら、結局のところ自分を強いドローとの対決に追いやってしまうことになり、ナッツでないドローで巨大なPOTを作るのは、大抵の場合は良いプレイではないからです。

 

リバー

リバーはレンジが絞られているため、シナリオを分析することが一番簡単なストリートです。もちろんリバーのポットは、フロップやターンで両者がポットにお金をつぎ込んだのであれば、各ストリートでは一番大きいため、リバーをうまくプレイすることは重要です。リバーのシナリオはたいてい、アグレッサーが、コーラーよりもポラライズされたレンジを持っています。このような状況では、TPTKでシンバリューベットを打つような場合を除けば、ブラフでもバリューでも大きいベットサイズが有効なことが多いでしょう。

次回以降記事では、あるハンドについてのEV最大化に対し、レンジ全体のEVの最大化という観点から見ていくことをしたいと思います。

 

 

元記事はこちら
http://www.galvinbay.net/the-art-of-bet-sizing/