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PokerStudie

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The ABC of 2NL, part 21: Value-betting when out of position as the pre-flop aggressor.

プリフロップアグレッサーとしてのアウトオブポジションからのバリューベット

ポジションがあるときとは対象的に、ポストフロップでは最初にアクションしなければならず、チェックビハインドすることはできません。ポジションがないということはポットコントロールが難しく、ビッグポットを作りたくとも作れず、ポットを小さく保ちたくても保てないということです。

 
問題点をまとめると以下の4つになります。
 
  • もしバリューベッドをする場合、IPの相手は単にフォールドすれば良く、難しい選択肢ではない。モンスターハンドをリバーで持っていてるときに支払ってもらうのが難しいだけでなく、相手から3ストリートのバリューを取るのがとても難しい
  • 中程度の強さのハンドでベットするとき、相手は強いハンド、ドロー、ブラフでレイズし、あなたを難しい判断に追いやることができる。中程度の強さのハンドは中程度のポットでプレイしたいのに、ターンレイズが飛んできたら?相手はリバーでオールインになることをちらつかせあなたを脅します。
  • チェックしてポットを小さく保とうとしても、相手はポジションを活かしてベットすることができます。ベッティングラウンドをパスしたいのに、チェックしてBMCBを打たれたらどうすればいいでしょうか?コールしたとしてもポットは大きくなってしまい、プランから外れてしまいます!もはやあなたに主導権はなく、次のストリートではさらにタフな状況に陥ってしまいます。
  • ドローを持っている場合、単にチェックビハインドでフリーカードをもらうということができません。相手にドローカードの価格を委ねてしまうことになるため、OOPでドローをパッシブにプレイするのはいささかトリッキーです。
 
OOPでポットサイズをコントロールするのは難しいことです。ただそうはいっても、モンスターハンドを持っていれば、b-b-bのラインを取ればいいだけですので問題ありません。このラインでは100bb持ちではオーバーベットを使いでもしなければオールインに持ち込むことは難しいですが、ドローや、負けているハンドから単純にバリューを取るのであれば十分です。以下の例を見てみましょう。
 
(※ハンドやスタック詳細は元記事のリプレイヤーを参照してください。PCからじゃないと見れないかも)
 

ハンド1 9人卓

Hero-MP1 TsTh
COはブラインドをポスト
 
MP1-R 3BB
CO-C
 
Flop KhTc5s(7.5BB)
 
MP1-BET 6.5BB
CO-C
 
Turn 4c(20.5BB)
 
MP1-BET 19.5BB
CO-C
 
River Kd(57BB)
 
MP1-BET 71.5BB(All-in)
CO-C
 
CO AsTd
 
上のハンドでは、私はTTでオープンし、COにコールされました。COはブラインドをポストしてゲームに入ったレクリエーショナルプレイヤーです。フロップでミドルセットを引き当て、私は相手がKを持っていることを願い、バリュータウンモードに入りました。
 
ターンのブランクカードでも、Kxがコールしてくれると考え大きいベットを打ちました。リバーのKはとても良いカードで、Kxがトリップスになり、もう降りることはないでしょう。私のフルハウスに対し、相手はオールインまでたどり着きました。ここで相手がKKやKTを見せてきたら、クーラーを食らわされたというものでしょう。
 
しかし驚いたことに、相手はATでコールしてくれていたのです!フロップでのエクイティは2%しかなく、ドローイングデッドに近いものでした。
 
もしもっとスタックがディープで、相手がアグレッシブであることがわかっているならば―とくにフロートを好むタイプ―ならば、ターンはx/rすることにより、リバーではオーバーベットにならないショブを狙いに行きます。
 
ただこのラインはいささかファンシーすぎるかもしれません。ターンで相手が罠にかかってベットしてくれなければ、バリューを取り逃すことになってしまいそうです。もし相手がQJのようなハンドを持っていて、ターンをチェックされてしまったらそれこそ大惨事です!ターンでバリューを取り逃すだけではなく、彼がポットにお金を入れるのはストレートが完成したときだけでしょう。
 
2NLの一般的な話として、自分がプリフロップレイザーの時に、x/rのようなファンシーなプレイは避けるべきです。バリューベットを打ってきましょう。私のデータベースの、b-x/r-bのラインを取った時のデータを見る限り、少ないサンプルではありますが、大抵の場合バリューを取り逃してしまっていました。
 
というわけで、フロップセットのようなモンスターハンドは単純にバリューベットをすればいいというのはわかったかと思います。しかし、中程度の強さのハンドではどうすればいいでしょう?
 
これは難しいところで、ボードと、相手のレンジを推測する能力が重要になってきます。前回の記事でおすすめしたような、ポットコントロールするラインはOOPでも有効に働きはしますが、欠点もあります。
 
IPの時にはb-x-b、b-b-xのアクションを取る時に、自分がチェックした後に相手にアクションを起こされる心配はありません。アクションを終わらせ、次のカードを見る/ショウダウンに行くことができます。しかしOOPでは、チェックした後に、次のストリートを見る前にベットをされる可能性があります。
 
バリューハンドを持っている時にOOPでチェックすることはあまりしません。イニシアチブを相手に渡すということは、相手にブラフされ、相手のハンドについて推測しなければならなくなるかもしれないということです。それに対し、ベットをする利点は、相手に判断をさせることができるということです。また、それにより相手の情報を得ることもできるということです。
 
相手は完全なエアでコールすることはまれでしょう。次のカードを見たいからコールするのです。しかしチェックしてしまえば、弱さを見せることになり、相手にブラフの機会を与えてしまいます。チェックした場合、相手が強いプレイヤーであれば、ターンベットレンジにバリューハンドとブラフハンドをミックスしているので、正確な読みができなければ相手のハンドを推測することは難しいでしょう。
 
しかしパッシブなプレイヤー相手には、特にウェットボードではチェックすることによりポットコントロールができることも多いです。パッシブなプレイヤーはドローでのベットをあまり好まないので、もしチェックしてベットされた場合、TP+を持っていると考えていいでしょう。
逆に言えば、ドローを単にコールしてくれるパッシブなプレイヤー相手に対してトップペアを持っていれば、バリューベットのチャンスです。バリューが取れるストリートをスキップしないようにしましょう!パッシブなプレイヤー相手にベットをしていくというのは今回の話の本筋とは少し離れますが、とても重要です。
 
コーリングステーションはモンスターハンドでなければ決してレイズしてこないということは、2NLをクラッシュするための重要なストラテジーとなってきます。もしあなたがトップペアを持っていても、ターンレイズされたのであれば降りるべきです。これはBaluga Theoremとして紹介したもので、今でも2NLでは通用し、当時(2008年)では50NLでも通用しました。
これを踏まえて、私はトップペアを持っている場合、フロップとターンはb/fが基本です。リバーでも基本的にb/fですが、アグレッシブなプレイヤー相手にはコールすることもありますし、ボードが不利であればx/fも視野に入れます。
これに関しては以下の例を見ていただけるのがわかりやすいと思います。
 

ハンド2 7人卓

Raise pre, bet flop, bet-fold turn.
 
Hero-MP1 KdQc
 
UTG-F
MP1-R 2.5BB
 
MP2,SB-C
 
Flop Qd7h6s(8.5BB)
 
MP1-BET 5.5BB
MP2,SB-C
 
Turn 5d(25BB)
 
MP1-BET 13BB
MP2-Raise to 32BB
SB,MP1-F
 
KQでオープンし、2人にコールされました。フロップではセミウェットボードのトップペア。フラッシュドローはないですが、OESDは存在します。76のツーペアも考えられます。
 
私がポジションを取られているMP2のプレイヤーが少し心配で、かれは12/6のスタッツのいわゆる「ナッツ売り」プレイヤーです。このようなプレイヤーはミドルスーコネでプリフロをコールしてくることはあまりなく、あるとすればセットマインでしょう。
 
ターンの5は私にとっては悪く、相手にとっては良いカードです。98はもちろん、55,65も手が進みます。77と66にはフロップですでに負けています。しかし、相手双方にドローも考えられるので、このトップペアをチェックで回したくはありません。チェックコールはもっと悪く、相手のペアプラスドロー、そしてモンスターハンドにバリュータウンに連れて行かれてしまうでしょう。ですので、ここではb/fのラインを取りました。
 
これはかなり簡単なレイダウンで、なぜなら相手にはほぼブラフがないからです。彼はトップペアに勝てるハンドは確実に持っているでしょう。もしターンをコールされてしまった場合、リバーは基本的にx/fを取ります。相手のリバーベットは、ワンペアに対して勝てるハンドであることがほとんどだからです。ただ、時にはブロックベットなどをすることもあります。
 
 

ハンド3 6人卓

Raise pre, bet flop, bet(-fold) turn, check-call river
 
Hero-SB AdKs
 
MP-L
CO-C
SB-R 4BB
MP,CO-C
 
Flop Ks8h4s(13BB)
 
SB-BET 11BB
MP-F
CO-C
 
Turn 7h(35BB)
 
SB-BET 19BB
CO-C
 
River 4h(73BB)
 
SB-x
CO-BET 26BB
SB-C
 
CO Qs2s
 
このハンドでは、私はSBからAKをもってリンパーをアイソレートしました。フロップはかなりよく、Kxとフラッシュドローをターゲットに確信を持ってバリューベットです。ターンではいささかウェットなボードになりました。ここでもレイズにはフォールドを考えつつ、バリューベットを打ちました。リバーではバックドアフラッシュが完成するカードが落ち、同時にペアボードになりました。このワンペアで(ボードに44があるので正確にはツーペアですが)相手に対して勝っているでしょう。
 
しかし、ここでこの相手に対しては読みがあります。私はこの相手に対してノートを付けており、ミスドローでのブラフが多い、と書いてあります。もし相手がスペードのミスドローであれば、ベットした場合、決してコールはしないでしょう。しかしチェックすれば、相手がブラフをしてくる余地があります。すると、まさにそのようなことがおこりました。私がチェックすると、彼はバリューベットのようなベットをしてきました。しかし、これは私が二発打って諦めたように見えたため、エアで打ってきたスタブベットでした。私のハンドはすべてのブラフとAA以外のすべてのワンペアに勝てるので、これはコールするのに十分価値があります。時には相手がトリップスやフルハウス、フラッシュを持っている場合もあるかもしれませんが、この時はミスドローのQハイでした。このハンド例では、b-b-bのラインでは2ストリートしか取れなかったバリューを3ストリートで取ったと言って良いでしょう。
 
ただし注意したいのは、2NLの多くの相手に、このラインは取らないほうが良いかも、ということです。小さくベットフォールドが良いでしょう。2NLでb-b-c/cのラインでワンペアを持ってブラフキャッチをした場合、負けていることが多々ありました。一般的な2NLのレクリエーショナルプレイヤーがリバーでベットをしてきた場合、ワンペア以上の手であることが多いように思えます。上のレートに上がれば、相手のアグレッションが上がってくるため、もちろんブラフキャッチが重要となってきます。
 

ハンド4 9人卓

Raise pre, bet flop, check(-call) turn, bet(-fold) river.
 
Hero-UTG+1 AcJc
 
UTG-F
UTG+1-R 3BB
MP2-C
others-F
 
Flop AdQd5d(7.5BB)
 
UTG+1-B(4.5BB)
MP2-C
 
Turn 8s(16.5BB)
 
UTG+1-x
MP2-x
 
River 4s(16.5BB)
 
UTG+1-B(8.5BB)
MP2-C
 
MP2 Muck
 
AJsを持ってのこのフロップは少々複雑な気持ちです。トップペアなのはもちろん良いですが、この様な危険なボードでは、3ストリートでバリューを取るのは難しいでしょう。このボードでb-b-bのラインを取れば、モンスターハンドに反撃されるか、コールされたとしても相手はセットかフラッシュでしょう。ですので、ここは2ストリートのバリューで十分とします。
 
この場合、ターンで何が落ちるかはとても重要です。もし4枚目のダイヤが落ちた場合、私は惜しむこともなくx/fのラインを取るでしょう。実際にはダイヤが落ちなかったので、ターンでx/c、リバーでx/fのラインを取るプランを立てました。ターンで打つこともできますが、弱いハンドを即座に下ろしてしまい、リバーに相手が残った場合に弱みを見せなければならないことが多いので、私は好みません。また、現状で勝っているコンボドローなどにレイズされたくないということもあります。
 
結果、ターンは相手がチェックビハインドしてくれて、リバーはほぼ影響がなさそうなカードなので幸運でした。相手はセットやフラッシュをスロープレイしている可能性もありますが、ペアやミスドローのような弱いハンドでしょう。レイズされたら降りることを考えつつ、ハーフポットを打ちました。これはブロックベットといってもいいかもしれません。バリューを狙いつつ、ポットサイズ以下の金額でショウダウンまで行きたいというベットです。
 
ターンで打ってしまっている場合は更に小さいサイズを打ちますが、小さすぎると相手がブラフレイズを考えてしまうかもしれないので、あまり好きではありません。2つのストリートで私はいくばくかの強みも見せているのに、リバーのハーフポットにレイズするのであればそれにワンペアやエアではないでしょうし、イージーフォールドです。
相手は結果的に、以前このブログでb-c-bのラインを取り上げたときと同様、かなり弱いハンド、Q6でコールしてきました。
 

ハンド5 6人卓

Raise pre, bet flop, bet turn, check-fold river.
 
Hero-BB ThTs
 
UTG-F
MP-L
CO,BU,SB-F
BB-R 3.5BB
MP-C
 
Flop 6d6s2h(7.5BB)
 
BB-B(4.5BB)
MP-C
 
Turn 9s(16.5BB)
 
BB-B(10.5BB)
MP-C
 
River Jd(37.5BB)
 
BB-x
MP-B(86BB)
BB-F
 
このプレイの相手はパッシブなプレイヤーで、ドローでほとんどブラフをしません。おそらくターンまではこちらが勝っていたと思うのですが、トリップスやフルハウスもありえます。かなりスロープレイをする相手なのでなんとも確証はもてません。リバーで取り逃したバリューを埋めるため、大きなベットをしてきたのかもしれません。
 
私のハンドの相対的な強さは、リバーで落ちたカードにより暴落してしまいました。オーバーカードかつフラッシュがコンプリートするカードが落ちた状況で、ベットをしても負けているハンドがコールしてくれる可能性は少ないと考え、チェックして小さいベットにはコール、大きいベットなら降りるプランを立てました。
 
しかし相手がいきなりのオーバーベットオールインをしてきたとき、私は相手がフルハウスか、フラッシュか、トリップスか、はたまた単にJなのかを正直わかりませんでした。私に分かることは、ハンドが単なるTのペアで、巨大なオーバーベットを受けた、ということだけでした。
 
私はフォールドし、相手がどれだけのバリューを取り逃したかと考え、少し笑いました。私のブログのバリューベットの部分を読んで勉強した方がいいよ、と言ってあげればよかったかもしれません(-.-;)
 

まとめ

記事を結ぶ前に繰り返し書いておきたいのは、これらのハンド例は意図的に変なハンドを抜き出したものではなく、2NLではよくあるプレイだということ、そして、私のプレイも最適なものではないかもしれない、ということです。それぞれの状況下でもっとよく機能する、より良いラインや、良いベットサイズがあるかもしれません。
 
今回の記事を読んでいただいた読者の方に理解してほしいことは、OOPでのプレイは難しいものであり、ベットをするたびに、どういう目的で、どんなハンドに向けて打ち、相手のアクションに対してどう対応するのか、というプランをよく考えなければいけないということです。
 
このブログではわかりやすいように、「トップペアのOOPではb-b-cのラインだ!」のように、できる限りシンプルに解説したいとは思っていますが、これは現実の状況とは異なるわけです。それぞれの状況はそれぞれ異なるわけで、機械的にそのようなプレイで多面するのであれば、高いウィンレートを出すことはできません。ハンドリーディング、レンジ推測に集中し、その都度、ベットか、チェックか、フォールドか、どれが最適なプレイかを考えるようにしましょう。
 
もしそれでも一言でまとめたものがほしいのであれば、OOPでのリバーのプレイに関して、この言葉を胸に刻みましょう。
 
負けているハンドがコールしてくれるならb/f、相手のレンジにミスドローが多いならx/c、ほぼ確実に負けていると思うならx/fしましょう。
 
次回から2回にわけて、プリフロップコーラーとして、そして中程度のハンドの強さの場合の時についての記事を書きたいと思います。それまでお待ち下さい。
 
※というポストを最後にブログの更新は2014年のここで止まってしまっているので、実質的にはこの第21回が最終回となります。シリーズものの訳出をはじめたにもかかわらず、完結が遅れに遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした。
 
 
元記事はこちら